2022年9月29日、メルセデス・ベンツの電気自動車部門である「メルセデスEQ」は、ラグジュアリーセダンの「EQS」とミドルサイズセダンの「EQE」を発表しました。EVになったSクラスとEクラスはどのようなモデルなのでしょうか。今回は、メルセデスEQのラインナップに追加されたEVセダンを紹介します。
ついに日本でデビューしたメルセデス・ベンツのEVセダン「EQS」&「EQE」
電気自動車のSクラス「EQS」とEクラス「EQE」は、メルセデス・ベンツ初のEV専用のプラットフォームを使ったモデルです。また、初のAMGモデル「EQS 53 4MATIC+」と「EQE 53 4MATIC+」を設定していることも注目すべきポイントといえるでしょう。さらに、両車の日本仕様には、外部給電システムの「V2H/V2L」を備えています。
EQSとEQEは、デザインや機能など共通している部分が多くあるため、どのような違いがあるのか分かりにくいでしょう。ここからは、EQSとEQEの特徴的な部分をピックアップして、詳しく紹介します。
おもてなし機能が備わるラグジュアリーセダン「EQS」
メルセデスEQのラグジュアリーセダンである「EQS」は、日本で販売されているEVの中でも最長(2022年9月時点)の航続距離700km(WLTCモード)を実現し、量産車の中で最も優れたCd値(空気抵抗係数)0.20を達成しているモデルです。また、ダッシュボード全面に広がるディスプレイ"MBUXハイパースクリーン"を「EQS 450+」にオプション設定し、「EQS 53 4MATIC+」に標準装備しています。
EQS 450+は9月29日から販売を開始し、EQS 534MATIC+は同日から予約注文の受付を開始しました。デリバリーは、2022年10月頃の予定となっています。価格は、EQS 450+が1,578万円、EQS 53 4MATIC+が2,372万円です。
ボディサイズは、EQS 450+/EQS 53 4MATIC+ともに、全長5,225mm×全幅1,925mm×全高1,520mmとなっています。
パワートレインは、EQS 450+が1基のモーターをリアアクスルに搭載する後輪駆動モデルで、最高出力が245kW/4,147-11,544rpm、最大トルクが568Nm/0-4,060rpmです。
EQS 53 4MATIC+は、フロントとリアに1基ずつモーターを搭載する2モーター四輪駆動で、フロントモーターの最高出力が174kW/4,858-6,937rpm、最大トルクが346nm/0-4,858rpm。リアモーターの最高出力が310kW/4,918-6,886rpm、最大トルクが609Nm/0-4,822rpmです。
搭載されるバッテリーは、EQS 450+/EQS 53 4MATIC+ともに107.8kWhのリチウムイオンバッテリーで、航続距離はEQS 450+が700km、EQS 53 4MATIC+が601kmとなっています。充電は、6.0kWまでの交流普通充電と150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応しています。
また、EQSには最大350個のセンサーによって、距離、速度、加速度、照明の状態、降水量、気温、シート着座の有無、ドライバーの瞬き、乗員の発話などを検知する機能を装備。センサーから受け取った情報をもとにシステムが学習していき、ユーザーよりも先回りして適切な機能を適切なタイミングで表示します。さらに、乗員の動きから乗員がどのような操作を行おうとしているか認識するシステム(いわゆるジェスチャーコントロール)が搭載されているのもEQSの特徴です。
1,000Nmを発生するAMGモデルを用意する「EQE」
メルセデスEQのミドルサイズセダンである「EQE」は、EQSよりサイズやバッテリー容量が小さいセダンです。インテリアのダッシュボード全面に広がるディスプレイ"MBUXハイパースクリーン"は、EQE 53 4MATIC+にオプション設定となっています。
EQEの予約注文は9月29日から開始され、デリバリーは2022年11月頃の予定。価格は、EQE 350+が1,248万円、EQE 53 4MATIC+が1,922万円となっています。
ボディサイズは、EQE 350+が全長4,955-4,970mm×全幅1,905mm×全高1,495mm、EQE 53 4MATIC+が全長4,964mm×全幅1,906mm×全高1,492mm。EQSと比較すると、ひとまわり小さいサイズであるためパーソナルセダンと言うこともできますが、狭い場所や行き違いなどでは少し苦労する大きさといえるでしょう。
パワートレインは、EQE 350+が1モーターの後輪駆動、EQE 53 53 4MATIC+が2モーターの四輪駆動です。それぞれのスペックは、EQE 350+が最高出力215kW/3,559-15,913rpm、最大トルク565Nm/0-3,559rpm。EQE 53 4MATIC+がシステム最高出力460kW/システム最大トルク950Nmで、RACE START時のシステム最高出力505kW/システム最大トルク1,000Nmとなっています。
搭載されるバッテリーは、EQE 350+/EQE 53 53 4MATIC+ともに、90.6kWhのリチウムイオンバッテリーで、航続距離はEQE 350+が624km、EQE 53 53 4MATIC+が526kmです。充電は、EQSと同じく6.0kWまでの交流普通充電と150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応しています。
日本でオーダーできる「メルセデスEQ」は5車種
メルセデスEQのラインナップは、ラグジュアリーセダンの「EQS」とミドルサイズセダンの「EQE」が加わったことでバリエーションが充実しました。現在(2022年10月時点)、日本でオーダーできるメルセデスEQは全5車種となります。各モデルの特徴やサイズなどは次のとおりです。
【EQS】
ラグジュアリーセダンのEQSは、内燃機関(HVやPHEVなどを含むガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載するモデル)のSクラスと同等の高い質感の室内が特徴の航続距離が長いEVセダンです。ボディサイズは、全長5,225mm×全幅1,925mm×全高1,520mmで、乗車定員は5人となっています。ラインナップは、1モーター後輪駆動「EQS 450+」と2モーター四輪駆動のAMGモデル「EQS 53 4MATIC+」です。
【EQE】
ミドルサイズセダンのEQEは、EQSをひと回り小さくしたエレガントな3ボックスセダンです。ボディサイズは、全長4,955-4,970mm×全幅1,905-1,906mm×全高1,492-1,495mmで、乗車定員は5人となっています。ラインナップは、1モーター後輪駆動の「EQE 350+」と2モーター四輪駆動のAMGモデル「EQE 53 4MATIC+」です。
【EQA】
EQAは、コンパクトサイズのSUVタイプのEVです。ボディサイズは、全長4,465mm×全幅1,835-1,850mm×全高1,610-1,625mmで、乗車定員は5人となっています。ラインナップは、フロントにモーターを1基搭載する前輪駆動の「EQA 250」のモノグレードです。
【EQB】
EQBは、コンパクトなサイズのSUVでありながら、3列シート7人乗りを実現しているEVです。ボディサイズは、全長4,685mm×全幅1,835mm×全高1,705mmとなっています。ラインナップは、フロントにモーターを1基搭載する前輪駆動の「EQB250」と、前輪・後輪に1基ずつモーターを搭載する四輪駆動の「EQB 350 4MATIC」の2タイプです。
【EQC】
EQCは、ミドルサイズのSUVの電気自動車で、日本におけるメルセデス・ベンツ初のピュアEVとして2019年にデビューしました。ボディサイズは、全長4,770-4,775mm×全幅1,885-1,925mm×全高1,625mmで、乗車定員は5人です。ラインナップは、前輪・後輪にモーターを1基ずつ搭載する四輪駆動の「EQC 400 4MATIC」のみとなっています。
まとめ
「EQC」から始まった日本におけるメルセデスEQの導入は、コンパクトSUVの「EQA」、7人乗りの「EQB」と徐々にバリエーションを増やしていきました。そして、今回紹介したラグジュアリーセダン「EQS」とミドルサイズセダン「EQE」の導入によって、メルセデスEQの選択肢は拡大し、さまざまなユーザーを取り込むことができるようになったといえるでしょう。