かつて「ヒュンダイ」の名で日本に導入されていた「Hyundai」が「ヒョンデ」という読み方に変わり再上陸しました。日本に導入されたヒョンデのEVは、クロスオーバーSUVスタイルの「IONIQ 5(アイオニック5)」。今回は、アイオニック5の特徴、日産 アリアのライバルとなるのか、その他のライバル車にはどのようなモデルがあるのか紹介します。SUVのEVを探している方は参考にしてみてください。
2022年に日本再上陸したヒョンデのEV「IONIQ 5(アイオニック5)」とは?
2022年2月に日本市場への参入を発表したヒョンデは、EVの「IONIQ 5(アイオニック5)」とFCVの「NEXO(ネッソ)」を導入すると明らかにしました。受注は2022年5月から開始され、デリバリーは2022年7月からを予定しています。
日本に導入されるEVの「アイオニック5」は、パラメトリックピクセル(Parametric Pixel)をデザインテーマとした先進的なスタイリングが特徴なCUV(クロスオーバーユーティリティビークル)です。
直線的なエクステリアとくつろぎ空間のインテリア
エクステリアは、直線基調のスタイリングで、折り目がついたボディパネル、四角いポジショニングライトやパラメトリックピクセルのリアコンビランプなどが特徴です。また、SUVのようなフェンダーアーチ、19インチまたは20インチの大径ホイールを装着しています。アイオニック5は、5ドアハッチバックのように見えるスタイリングですが、随所にSUVのエッセンスが取り入れられているクロスオーバーモデル。ヒョンデの公式カタログに表記されているCUVという言葉通りのデザインになっています。
ボディサイズは、全長4,635mm、全幅1,890mm、全高1,645mmで、全長と全高がレクサス NXとほぼ同じで、全幅がレクサス RXとほぼ同等のサイズとなっています。ホイールベースは3,000mmと長めで、トヨタ アルファードと同じ長さです。小回り性能の指標となる最小回転半径は5.99mで、レクサス RXとほぼ同じ数値になっています。
ハッチバックのようなスタイリングであるものの、寸法や実車を見ると意外にも大きいというのが第一印象です。駐車場によっては入庫できない場所もあるため、購入の際は車が入るか確認しておくと良いでしょう。
インテリアは、水平基調のダッシュボードやメーターとナビゲーションが繋がった2画面のモニターなどにより、シンプルで先進的な室内空間を作り出しています。また、140mmのスライドができるセンターコンソールが装備されているため、運転席と助手席のウォークスルーが可能です。さらに、前席には充電中や休憩時に役立つリラクゼーションコンフォートシートが装着されています。アイオニック5のインテリアは、室内での快適性が考慮された装備が充実しているといえるでしょう。
運転操作において特筆すべきポイントは、ウインカーレバーが右側に装着されていることです。輸入車の多くは、ウインカーレバーが左側のままになっていることが多いものの、ヒョンデのアイオニック5はウインカーレバーが右側になっています。よって、国産車から乗り換えてもレバー操作を間違えたり、違和感を感じたりすることがないでしょう。
日本に導入グレードとパワートレインや充電性能
日本に導入されるヒョンデ アイオニック5のグレードは、58kWhのバッテリーを搭載する後輪駆動の「IONIQ 5」、72.6kWhのバッテリーを搭載する後輪駆動の「IONIQ 5 Voyage」と「IONIQ 5 Lounge」、72.6kWhのバッテリーを搭載し四輪駆動となる「IONIQ 5 Lounge AWD」の4タイプです。
各グレードごとの出力・航続距離・価格は次のとおりです。
■58kWhバッテリー「IONIQ 5(後輪駆動)」
・最高出力:125kW(170PS)/3,600~7,400rpm
・最大トルク:350Nm(35.7kgm)/0~3,200rpm
・航続距離(WLTC):498km
・価格:479万円
■72.6kWhバッテリー「IONIQ 5 Voyage(後輪駆動)」と「IONIQ 5 Lounge(後輪駆動)」
・最高出力:160kW(217PS)/4,4000~9,000rpm
・最大トルク:350Nm(35.7kgm)/0~4,200rpm
・航続距離(WLTC):618km
・価格:519万円(Voyage)、549万円(Lounge)
■72.6kWhバッテリー「IONIQ 5 Lounge AWD(四輪駆動)」
・最高出力:225kW(305PS)/2,800~8,600rpm
・最大トルク:605Nm(61.7kgm)/0~4,000rpm
・航続距離(WLTC):577km
・価格:589万円
どのグレードを選ぶか悩んだときは、必要な航続距離や駆動方式を基準に選ぶと良いでしょう。ロングドライブを楽しみたい場合には、1回の充電あたりの航続距離が長い72.6kWhバッテリーを搭載する後輪駆動の「IONIQ 5 Voyage」または「IONIQ 5 Lounge」がおすすめです。雪道など滑りやすい場所を走ることがある場合は、四輪駆動の「IONIQ 5 Lounge AWD」が良いでしょう。買い物や通勤などの日常使いがメインであれば、58kWhバッテリーの後輪駆動「IONIQ 5」で十分だと言えます。
充電は、急速充電と普通充電に対応しています。急速充電は、最大90kWまで対応しており、ベースグレードの「IONIQ 5」の場合、約32分で10%から80%まで充電することが可能です。ランチやディナー、休憩中などに急速充電をすれば、時間を無駄にしたり、待ち時間が発生したりすることがないでしょう。
充実している先進的な安全性能
アイオニック5には、全グレードに標準装備となる安全機能や運転支援システムが充実しています。主な安全システムは次のとおりです。
■全グレード標準装備となる安全システムと運転支援システム
・スマートクルーズコントロール(SCC)
・ナビゲーション基盤のスマートクルーズコントロール
・高速道路走行補助
・前方衝突防止補助(車両/歩行者/自転車搭乗者/交差路対向車)
・レーンフォローイングアシスト(LFA)
・レーンキーピングアシスト(LKA)
・リヤクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト (RCCA)
・ドライバーアテンションワーニング(DAW)
・ブラインドスポットコリジョンアボイダンスアシスト(BCA)
・ヒルアシストコントロール(HAC)
・車両姿勢制御システム(ESC)
・車両統合制御システム(VSM)
・急制動警報システム(ESS)
・リモートスマートパーキングシステム(RSPA)
・前後方駐車距離警報
・後方駐車衝突防止補助
・多重衝突防止自動制御システム(MCB)
・安全降車補助(パワーチャイルドロック機能付き)
・7エアバッグシステム(前座席、運転席センターサイド、前座席サイド、カーテンシールド、横転検知展開機能付き)
・タイヤ空気圧警告表示(TPMS)
・仮想エンジンサウンドシステム(車両接近通報)
・ブレーキアシストシステム(BAS)
アイオニック5には、市街地での運転や高速道路での運転に対応した安全装備が充実していることがわかります。特に、リモート駐車機能は、駐車が苦手な方や狭い場所に車を停めなければならないときに役立つと言えるでしょう。
アイオニック5は2022年に納車が開始された日産 アリアのライバルなのか?
クロスオーバーSUVのEVとして注目されている日産 アリアは、2022年3月に第1号車の納車がされました。
アリアは、2020年7月に発表され、2021年6月に66kWhバッテリーを搭載する「B6」の2WDとe-4ORCE(4WD)「limited」、91kWhバッテリーを搭載する「B9」の2WDとe-4ORCE(4WD)「limited」の予約を開始。
2022年4月時点では、「B9 limited」、「B6 e-4ORCE limited」、「B9 e-4ORCE limited」のウェブ予約受付中となっています。また、「B6」については、11月26日から注文受付を開始する予定と発表されています。
アリアは、日産初のクロスオーバーEVで、力強い加速や滑らかな走りなど、EVの特性を活かしたクーペライクなスタイリングを持つモデルです。インテリアは、ラウンジのような高級感あるデザインを採用。また、運転のストレスを軽減する運転支援機能「プロパイロット」やドライブをサポートするコネクテッド技術を搭載しているのも特徴です。90kWhバッテリー搭載モデルの2WDの航続距離(WLTCモード)は最大610kmで、毎日の通勤だけでなく、週末のドライブにも最適なEVとなっています。
アリアの主なスペックは次のとおりです。
・サイズ:全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,655mm
・ホイールベース:2,775mm
・バッテリー容量:66kWhまたは91kWh
・最高出力:160kW(218PS)/5,950~13,000rpm(グレード:B6)
・最大トルク:300Nm(30.6kgm)/0~4,395rpm(グレード:B6)
・航続距離(WLTCモード):430km~610km
・急速充電:最大90kWまで対応
・普通充電:最大6kWまで対応
・価格:539万円~740万800円
ボディサイズはアイオニック5とほぼ同等で、バッテリー容量を2種類用意している点や90kWの急速充電に対応していることなどから、アリアがアイオニック5のライバルと言えるでしょう。
アイオニック5との違いは、エクステリアデザインやSUVらしい最低地上高となっているかという点にあります。価格はアリアよりアイオニック5の方がリーズナブルです。ほぼ同等の性能を備えているクロスオーバーモデルであることを考えると、アリアにするかアイオニック5にするか悩むと言えるでしょう。
SUVタイプのEVはライバル多数!
SUVタイプのEVは、アイオニック5やアリア以外にも国産車・輸入車問わず多くあります。つまり、アイオニック5やアリアのライバルが国内外に多数存在しているということです。ここからは、ライバルになり得るSUVタイプのEVを5車種紹介します。
トヨタ bZ4x
トヨタ bZ4Xは、2021年4月にコンセプトを発表し、2021年10月に詳細情報が公開されたトヨタの新しいEVシリーズ第1弾モデルです。
スバルと共同開発された新型EVのbZ4Xは、SUVタイプの電気自動車(EV)で、横長基調でワイドな印象のエクステリア、乗員を取り囲むような造形のインテリア、トヨタ初となるワンモーショングリップの異形ステアリングホイールなどを採用していることが特徴となっています。安全システムには、ミリ波レーダーおよび単眼カメラの検知範囲を拡大させたToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)を搭載すると発表されています。
トヨタ bZ4Xの主なスペックは次のとおりです。
・サイズ:全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,650mm
・ホイールベース:2,850mm
・バッテリー容量:71.4kWh
・最高出力:150kW(2WD)、160kW(4WD)
・航続距離(WLTCモード):500km前後(2WD)、460km前後(4WD)
・急速充電:最大150kWまで対応
・普通充電:最大6.6kWまで対応
・導入予定:2022年年央予定
アイオニック5との大きな違いは、急速充電が150kWまで対応となっていることや航続距離です。価格は発表されていないため、アイオニック5よりも手に入れやすいかどうか現時点(2022年4月現在)では不明となっています。
スバル ソルテラ
スバル ソルテラは、2021年11月に発表されたグローバルモデルの電気自動車です。エクステリアは、スバル車であることを表現するヘキサゴングリルを採用し、グリルから水平に伸びるボディラインや張り出した前後のフェンダーにより、SUVらしい力強さを主張しています。インテリアは、高さを抑えたインパネとステアリングホイールの上から見るスバル初採用のトップマウントメーターによって開放的な空間となっているのが特徴です。ソルテラはトヨタ bZ4Xと兄弟車となっています。
スバル ソルテラの主なスペックは次のとおりです。
・サイズ:全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,650mm
・ホイールベース:2,850mm
・バッテリー容量:71.4kWh
・最高出力:150kW(2WD)、160kW(4WD)
・航続距離(WLTCモード):530km前後(2WD)、460km前後(4WD)
・急速充電:最大150kWまで対応
・普通充電:最大6.6kWまで対応
・導入予定:2022年年央
アイオニック5との違いは、トヨタ bZ4Xと同じように急速充電が150kWまで対応していることと航続距離です。現時点(2022年4月現在)で価格が発表されていないことから、アイオニック5よりもコストパフォーマンスに優れているかどうかは不明となっています。
メルセデス・ベンツ EQC
メルセデス・ベンツ EQCは、2019年7月に発表された電気自動車で、横一文字のポジショニングライトやリアコンビランプ、角がとれたボディパネルのエクステリアが特徴のEVです。インテリアは、金属調パネルやピアノブラックのパネルを随所に配したメルセデス・ベンツらしい高級感ある内装となっています。外装も内装もメルセデス・ベンツの電動モデル「EQ」のエッセンスを取り入れた新しいデザインとなっていることがポイントです。安全システムには、フラッグシップモデルのSクラスと同等の先進的なレーダーセーフティパッケージを装備。EQCは、高級感ある外装や内装、先進的な安全機能を装備したメルセデス・ベンツらしいEVとなっています。
メルセデス・ベンツ EQC400 4MATIC主なスペックは次のとおりです。
・サイズ:全長4,770mm×全幅1,885mm×全高1,625mm
・ホイールベース:2,875mm
・バッテリー容量:80kWh
・最高出力:300kW(408PS)/4,160rpm
・最大トルク:765Nm(78.0kgm)/0~3,560rpm
・航続距離(WLTCモード):400km
・急速充電:最大110kWまで対応
・普通充電:最大6kWまで対応
・価格:960万円
EQCとアイオニック5が異なるのは、バッテリー容量と航続距離です。急速充電はアイオニック5の90kWよりも早く充電できる110kWまで対応しています。しかし、WLTCモードの航続距離は、EQCよりもアイオニック5の方が長いことから、電費はアイオニック5の方が良いと言えるでしょう。
アウディ Q4 e-tron/Q4 Sportback e-tron
アウディ Q4 e-tron/Q4 Sportback e-tronは、2022年1月に発表されたアウディe-tronシリーズ第3弾モデルです。ボディサイズは、Q3とQ5の中間に位置するコンパクトサイズでありながら、室内はQ5以上の広さを確保していることが特徴となっています。エクステリアは、短いフロントオーバーハングや開口部のないオクタゴン(8角形)シングルフレームグリルによりアウディらしさを表現。インテリアは、センタークラスターがドライバーに向けられたドライバーオリエンテッドなデザインで、アウディ初の物理ボタンのないタッチ式スイッチのステアリングホイールを採用していることがトピックです。安全機能や運転支援システムには、最新の安全技術とアシスタンスシステムを搭載しています。
アウディ Q4 e-tron/Q4 Sportback e-tronの主なスペックは次のとおりです。
【Q4 e-tron/Q4 Sportback e-tron(欧州仕様)】
・サイズ:全長4,588mm×全幅1,865mm×全高1,614mm
・ホイールベース:2,764mm
・バッテリー容量:82kWh(実容量77kWh)
・最高出力:150kW
・最大トルク:310Nm
・航続距離(欧州値):516km
・急速充電:最大125kWまで対応
・普通充電:最大8kWまで対応
・価格:599万円~716万円
日本仕様のスペックは認可後の公開となるため、ここでの数値は欧州仕様となります。欧州仕様のQ4 e-tron/Q4 Sportback e-tronとアイオニック5を比較すると、ボディサイズがひとまわり小さいことが大きな違いです。しかし、室内空間はアイオニック5と同等もしくは同等以上の広さを実現していることがアウディQ4 e-tron/Q4 Sportback e-tronの特徴となっています。
BMW iX3
BMW iX3は、2021年11月に追加されたプレミアムミドルクラスSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)であるX3のEVモデルです。デザインは、X3をベースに電気自動車らしさを主張する青色を取り入れています。安全装備には、3眼カメラとレーダーを使い、高性能プロセッサーによる高い解析能力により、精度と正確性が向上した運転支援システムを標準装備。また、ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能やパーキングアシスタント、コネクティッドサービスも標準装備されています。
BMW iX3の主なスペックは次のとおりです。
・サイズ:全長4,740mm×全幅1,890mm×全高1,670mm
・ホイールベース:2,865mm
・バッテリー容量:116Ah
・最高出力:210kW(286PS)/6,000rpm
・最大トルク:400Nm(40.8kgm)/0~4,500rpm
・航続距離(WLTCモード):508km
・急速充電:最大80kWまで対応
・普通充電:最大9.6kWまで対応
・価格:862万円
アイオニック5との違いは、急速充電が80kWまでの対応という点と、モーターの出力がアイオニック5の2WDよりも力強いことです。パワフルな走りを求めるのであれば、アイオニック5よりもBMW iX3の方が良いと言えるでしょう。
まとめ
クロスオーバーEVの新たな選択肢となるアイオニック5は、ライバルが多いカテゴリーに参入していることから、自信があるモデルと言えるでしょう。実際にアイオニック5を見て乗ってみると、走行性能や内装の質感などが欧州車に匹敵するほどのクオリティになっていると言っても過言ではありません。最新の電気自動車を欲しいと考えている方は、アイオニック5をはじめ、国産車や輸入車のEVを見て乗ってから購入を決めることをおすすめします。