トヨタ初のBEV!共同開発で誕生したトヨタ bZ4Xってどんな車?

更新 2021.11.25 EV新車情報
目次

トヨタ自動車はスバルと共同開発した電気自動車「bZ4X」の詳細を2021年10月29日に発表しました。86、BRZの開発に次ぐ両社のタッグで注目を集めています。トヨタのbZシリーズ第1弾として登場したBEV(Battery Electric Vehicle)「bZ4X」がどのような車なのでしょうか。


 


この記事では、話題沸騰のbZ4Xについて徹底解説します。


 


 


 


トヨタ bZ4Xとは?


 


 


 



 


トヨタ bZ4Xは、2021年10月29日に発表したBEV(電気自動車)で、新しいEVシリーズ「TOYOTA bZ(トヨタ ビーズィー)」第1弾モデルです。今後、bZシリーズは、2025年までに7車種を導入する予定となっています。その最初のモデルが今回解説するミディアムサイズのSUVである「bZ4X」です。


 


 


 


トヨタの電気自動車シリーズ「bZ」とは?


 


 


 


トヨタが新たに展開するBEVシリーズの「bZ」は、「beyond Zero」を意味しており、「You & Others(ヒトとヒト)」、「You & Your Car(ヒトとクルマ)」、「You & the Environment(ヒトと地球)」、「You & Society(ヒトと社会)」の4つを価値を提供するとしています。それぞれの内容は次の通りです。


 


 


 


【TOYOTA bZシリーズ4つの目標価値】


 


 


 


■You & Others(ヒトとヒト)


 


快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供


 


 


 


■You & Your Car(ヒトとクルマ)


 


BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供


 


 


 


■You & the Environment(ヒトと地球)


 


CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す


 


 


 


■You & Society(ヒトと社会)


 


安心・安全な社会づくりへの貢献


 


 


 


第1弾モデル「bZ4X」のコンセプト


 


 


 


bZ4Xのコンセプトは、単なる移動手段ではなく、乗員全員が楽しい時間や空間を共有できるワクワク感のあるクルマを目指した「Activity Hub」。乗員全員が一緒に楽しい時間や空間を共有できる「絆」のような役割を担いたいという意志が込められています。


 


 


 


BEVらしさを求めたスタイリングと新しいステアリングを備えるインテリア


 


 


 


bZ4Xのスタイリングは、BEVの斬新さとSUVの迫力を表現しています。デザインテーマは「Hi-Tech and Emotion」で、BEVの先進感と車本来の美しさを融合した造形としました。エクステリアは、先進的なスリークさとSUVらしい力強さを両立したスタイリングを目指しました。また、ルーフソーラーパネルを装着した車両を設定することも発表されています。


 


 


 


インテリアには、従来と同様の円型ステアリングの他に、ステアリングホイールとタイヤの間にメカニカルな結合のない「ステアバイワイヤシステム」と異形ステアリングホイールを組み合わせたワンモーショングリップを用意。角型で上部が切り落とされたようなステアリングは、航空機に装備されている操縦桿のような形となっています。


 


 


 


オンライン接続されているインフォテインメントシステム


 


 


 


bZ4Xには、オンライン接続されたインフォテインメントシステムが搭載されています。マルチメディアシステムでは、クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。また、音声認識機能の充実し、ワイパーやエアコンなども動作も可能です。


 


 


 


予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」とマルチメディアシステムは、OTA(Over the Air=無線通信)によるソフトウェアアップデートにより、販売店へ入庫することなく性能向上ができます。


 


 


 


スバルと共同開発のBEV専用プラットフォームと走り


 


 


 



 


BEV専用プラットフォームは、トヨタとスバルが共同開発しました。BEVならではの要件を盛り込み、低重心・高剛性化を図っています。薄型大容量電池パックは、床下に平置きで配置し、モーター・トランスアクスル・インバーターを一体化した「e-Axle」をトヨタとして初めて搭載しました。また、充電機能と電力分配機能を集約したElectricity Supply Unit(ESU)もトヨタ初採用です。


 


 


 


モーター駆動の特性でもある素早いレスポンスやリニアな加速感により、BEVならではの走りを実現しました。また、AWD車は前後モーターの独立制御により、回頭性や操縦安定性を向上させています。さらに、スバルのAWD技術「X-MODE」をトヨタ車に採用し、X-MODEの新たな機能としてGrip-Controlを新開発し搭載していることもトピックです。


 


 


 


モーター駆動の特性を活かすことで、日常ユースからライトオフロード以上の走行まで対応。滑らかで意のままの走行と本格SUVとしての走破性を両立しました。


 


 


 


安全システムや運転支援技術も搭載される


 


 


 


bZ4Xには、最新のToyota Safety Senseが採用されています。ミリ波レーダーと単眼カメラの検知範囲を拡大することにより、機能の性能向上や一般道での支援を行う新機能を追加しました。さらに、リモート機能付きの高度運転支援技術アドバンストパーク(Toyota Teammate Advanced Park)を装着した車両も設定されます。


 


 


 


航続距離や外部給電機能について


 


 


 


bZ4Xのバッテリーやパワートレインは、航続距離の確保や世界トップレベルの電池容量維持率を目指して開発されました。航続距離は、1充電あたり500km前後(FWD車)と公表されています。また、日本仕様には、DC外部給電機能(V2H/V2L)を装備。アウトドアや災害時などの緊急時に給電器を接続し大出力の電力を住宅や家電に供給します。


 


 


 


bZ4Xの主要スペック


 


 


 


■全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,650mm


 


■ホイールベース:2,850mm


 


■車両重量:1920kg~(FWD)、2005kg~(AWD)


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):500km前後(FWD)、460km前後(AWD)


 


■バッテリー容量:71.4kWh(リチウムイオンバッテリー)


 


■モーター出力:150kW(FWD)、フロント80kW・リア80kW・システム出力160kW(AWD)


 


■充電性能:DC 最大150kW/AC 6.6kW


 


■価格:未発表


 


 


 


※ここまでのbZ4Xの情報は2021年10月29日時点のものです。


 


 


 


兄弟車であるスバル SOLTERRA(ソルテラ)との違いはあるのか?


 


 


 



 


 


 


共通のプラットフォームを使うスバルソルテラとの違いはあるのでしょうか。ここからは、ソルテラの概要や特徴、bZ4Xとの違いについて解説します。


 


 


 


スバル ソルテラとは?


 


 


 


スバル ソルテラ(SOLTERRA)は、2021年11月11日に発表されたスバル初のグローバルBEVです。トヨタと共同開発したBEV専用プラットフォーム「e-Subaru Global Platform」により、操縦安定性が高く、ドライバーのステアリング操作に対しリニアに反応するスバルらしい動的質感の高い走りを実現しました。


 


 


 


また、BEVならではの構造として、車体下部に大容量バッテリーを搭載し、バッテリーを骨格の一部としても活用することで、低い重心高と高いボディ強度・剛性を実現しています。


 


 


 


走行性能の面では、BEVならではのAWDシステムを採用しました。前輪と後輪をそれぞれ別のモーターで駆動するシステムにより、高い応答性や自在な前後駆動力配分を実現。四輪のグリップ力を最大限に使った安心感の高い走りとなっています。


 


 


 


SUVに求められる悪路走破性能では、他のスバルのSUVと同様にX-MODEを採用。悪路でも車両を安定させながら一定速度での走行を可能にする「Grip Control」を新たに追加することで走破性を強化しています。


 


 


 


ソルテラとbZ4Xの違いは「デザイン」と「車両重量」と「航続距離」


 


 


 


ソルテラとbZ4Xの違いは、主に「デザイン」と「車両重量」と「航続距離」です。デザインはエクステリアに多数の違いがあります。フロントまわりでは、bZ4Xが面のバンパーであるのに対し、ソルテラは6角形のヘキサゴングリル形状です。ライトまわりは、bZ4Xが横一文字を基調としているのに対し、ソルテラはコの字型のポジショニングライトやテールランプを採用しています。インテリアには、目立った違いが見られません。


 


 


 


車両重量は、bZ4XがFWD:1920kg~/AWD:2005kg~と公表されているのに対し、ソルテラがFWD:1930kg~/AWD:2020kg~。bZ4Xよりもソルテラの方が10kg以上重たくなっています。


 


 


 


車両重量は、航続距離にも影響する要素です。航続距離は、bZ4XがFWD:500km前後/AWD:460km前後と公表されていますが、ソルテラはFWD:530km前後/AWD:460km前後。現時点(2021年11月11日現在)の情報だけで航続距離を比較すると、車両重量が重たいソルテラのFWDがbZ4XのFWDよりも航続距離が30kmほど長くなっています。さらに、AWDの航続距離は、車両重量が重たいソルテラと15kgほど軽いbZ4Xで同じです。


 


 


 


ソルテラの主要スペック


 


 


 


■全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,650mm


 


■ホイールベース:2,850mm


 


■車両重量:1930kg~(FWD)、2020kg~(AWD)


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):530km前後(FWD)、460km前後(AWD)


 


■バッテリー容量:71.4kWh(リチウムイオンバッテリー)


 


■モーター出力:150kW(FWD)、フロント80kW・リア80kW・システム出力160kW(AWD)


 


■充電性能:DC 最大150kW/AC 6.6kW


 


■価格:未発表


 


 


 


※ここまでのソルテラの情報は2021年11月11日時点のものです。


 


 


 


bZ4X/ソルテラのライバル車比較


 


 


 



 


 


 


トヨタとスバルが共同開発したBEV「bZ4X/ソルテラ」のライバルは、日産 アリア、メルセデス・ベンツ EQC、BMW iX3、BMW iX、レクサス UX300eになるでしょう。ここからは、ライバル車の概要やスペックを解説します。


 


 


 


日産 アリア


 


 


 


日産 アリアは、2020年7月に発表されたクロスオーバーEVです。エクステリアはシンプルなボディパネルで構成され、フロントグリル部分はスモークがかったパネルでカバーされています。カバーされたグリルの中には、日本の伝統的な組子パターンが立体的に表現されているのが特徴です。全体的なスタイルは、直線基調のライトまわりとクーペライクなルーフラインによって精悍でスポーティーなプロポーションとなっています。


 


 


 


インテリアは、直線を基調とした造形で、物理的なスイッチが少ないのが特徴。スイッチをオンにすると操作アイコンが浮かび上がってくる仕組みとなっています。また、CセグメントのサイズでありながらDセグメント並みの室内の広さになっているのもポイントです。運転支援システムは、7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーを採用したプロパイロット2.0を搭載しています。


 


 


 


【日産 アリアの主なスペック】


 


■全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,655mm


 


■ホイールベース:2,775mm


 


■車両重量:1900kg~2200kg


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):最大450km(65kWh・2WD)、最大610km(90kWh・2WD)、430km(65kWh・4WD)、580km(90kWh・4WD)


 


■バッテリー容量:65kWh、90kWh


 


■モーター出力:160kW/300Nm(65kWh・2WD)、178kW/300Nm(90kWh・2WD)、250kW/560Nm(65kWh・4WD)、290kW/600Nm(90kWh・4WD)


 


■価格:539万円(B6・2WD・66kWhバッテリー搭載車)


 


 


 


メルセデス・ベンツ EQC


 


 


 


メルセデス・ベンツ EQCは、2019年に発表されたEVクロスオーバーSUVです。スタイリングは、シンプルかつシームレス。独特なカラーアクセントによって、先進的で独特な外観を作り上げています。フロントの大型ブラックパネル、マルチビームLEDヘッドライトを繋ぐデイタイムドライビングライトや横一文字のリアコンビランプなどによってEQ独特のデザインを作り出しています。


 


 


 


インテリアは、上質でありながらEQならではのデザインで、ダッシュボード中央部から運転席側までが大きく切り取られたような造形や運転席から中央まで続く大型パネルが特徴です。安全装備では、メルセデス・ベンツの上級モデルに搭載されるレーダーセーフティパッケージが装備されています。


 


 


 


【メルセデス・ベンツ EQCの主なスペック】


 


■全長4,761mm×全幅1,884mm×全高1,623mm


 


■ホイールベース:2,873mm


 


■車両重量:2,495kg


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):400km


 


■バッテリー容量:80kWh


 


■モーター出力:300kW/765Nm


 


■充電性能:急速充電50kW/普通充電6.0kW


 


■価格:1,080万円(2019年発表当時)


 


 


 


BMW iX


 


 


 


BMW iXは、2021年11月4日に発売を開始したEVクロスオーバーSUVです。スタイリングは、大きく縦長のキドニーグリルや薄型のライトなどが目を引きます。インテリアは、BMW初のメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させたモニターが特徴です。また、六角形のステアリングをBMWとして初めて採用。シンプルながら先進的な造形となっています。


 


 


 


駆動方式は、前輪と後輪に1つずつモーターを搭載したxDriveで、バッテリー容量と出力の違いで「iX xDrive40」と「iX xDrive50」の2グレードを展開。安全機能や運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」が標準装備です。安全システムや支援機能には、ストップ&ゴー機能付アクティブクルーズコントロール、レーンチェンジウォーニング、レーンディパーチャーウォーニング(車線逸脱警告システム)、衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)などが含まれています。


 


 


 


【BMW iXの主なスペック】


 


■全長4,955mm×全幅1,965mm×全高1,695mm


 


■ホイールベース:3,000mm


 


■車両重量:2380kg(xDrive40)、2530kg(xDrive50)


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):450km(xDrive40)、650km(xDrive50)


 


■バッテリー容量:76.6kWh(xDrive40)、112kWh(xDrive50)


 


■モーター出力:240kW/630Nm(xDrive40)、385kW/765Nm(xDrive50)


 


■充電性能:DC 最大150kW/AC 11.0kW


 


■価格:981万円(xDrive40)、1,160万円(xDrive50)


 


 


 


BMW iX3


 


 


 


BMW iX3は、2021年11月4日に発売を開始した電気自動車で、BMW X3のラインナップに追加されたEVです。iX3は、X3をベースにしているEVで、随所に電気自動車であることを主張するデザインエレメントを採用。BMWロゴまわり、キドニーグリルまわり、リヤスポイラーの一部、スタート・ストップボタン、シフトノブのまわりなどに青色を配しているのが特徴です。


 


 


 


安全装備においては、ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能を標準装備。グレードは、2021年11月発表時点では「iX3 M Sport」のみで、最高出力210kW、最大トルク400Nmを発揮する電気モーターを搭載し、後輪を駆動させます。1充電あたりの航続距離は460kmです。


 


 


 


【BMW iX3の主なスペック】


 


■全長4,740mm×全幅1,890mm×全高1,670mm


 


■ホイールベース:2,865mm


 


■車両重量:2200kg(RWD)


 


■1充電あたりの航続距離(ヨーロッパWLTPモード):460km(RWD)


 


■バッテリー容量:80kWh


 


■モーター出力:210kW/400Nm


 


■充電性能:急速充電 最大80kW/普通充電9.6kW


 


■価格:862万円


 


 


 


LEXUS UX300e


 


 


 


レクサス UX300eは、2020年10月22日に発表されたレクサス初の市販EVです。コンパクトクロスオーバーSUVであるUXの個性的なデザイン・利便性・取り回しのよさをそのままに、EVらしい静粛性の高い滑らかな走りを追求。バッテリーを床下に配置し、低重心化を図り、走行安定性を向上させています。


 


 


 


駆動方式は、フロントにモーターを搭載する前輪駆動。バッテリー容量は54.4kWhで、航続距離が367kmです。2020年度分は135台の限定販売でしたが、2021年から通常販売を開始しました。安全装備では、単眼カメラとミリ波レーダーによるLexus Safety System+を装備しています。


 


 


 


【LEXUS UX300eの主なスペック】


 


■全長4,495mm×全幅1,840mm×全高1,540mm


 


■ホイールベース:2,640mm


 


■車両重量:1800kg


 


■1充電あたりの航続距離(WLTCモード):367km


 


■バッテリー容量:54.4kWh


 


■モーター出力:150kW/300Nm


 


■充電性能:DC 最大50kW/AC 3~6kW


 


■価格:580万円~635万円


 


 


 


まとめ


 


 


 



 


 


 


bZ4Xクラスの電気自動車クロスオーバーSUVは、国内外問わずライバルが多く存在しています。bZ4Xのバッテリー容量、出力、航続距離、充電性能などは、必要にして十分なスペックを備えており、ライバルとも十分に戦える性能を持っていると言えるでしょう。残す問題は価格です。価格次第で売れるか売れないかが決まると言っても良いでしょう。しかし、現時点(2021年11月21日現在)で価格は発表されていません。今後の続報に期待しましょう。


 


 

[電気王編集部]