AppleやGoogle、ソニーに続き、中国のIT大手である百度もEV参入を発表しました。ガソリン車の新規参入はあまりありませんでしたが、EVの場合、今後多くのIT企業が開発に乗り出すかもしれません。
なぜIT企業がEVの開発に続々と新規参入できるのか。この記事では、IT企業のEV参入事情や、今後どのような車をリリースしようとしているかを解説します。
EV関連の開発を進めるIT企業
EV関連の開発を進めるIT企業にはどのような会社があるのでしょうか。まず、EV関連事業に参入しているIT企業と開発している内容を解説します。
Apple
iPhoneやMacなどで知られるAppleは、EV事業へ参入するために自動車メーカーと交渉を進めていましたが、提携交渉が難航しているとのことです。
Appleは、スマートフォンやノートパソコンの製造で培ったバッテリーやソフトウェアなどの内面的な技術を自動車メーカーに提供しEVを製造しようとしていたようですが、今後Appleが作るEVがどのようになるのか、現時点(2021年10月現在)では、明らかになっていません。
Googleは、Android Autoで自動車の内面的な技術の分野に参入していますが、自動車を製造するかということは現時点(2021年10月現在)で明らかになっていません。
ただし、現時点で自動車メーカーとの連携をしていることから、ハードウェアの製造を自動車メーカーが行い、ソフトウェアの製造をGoogle担当する自動車がリリースされる可能性があるかもしれません。
ソニー
ソニーは、自動車産業に本格参入することを明らかにし、プロトタイプEVも発表しました。プロトタイプの「VISION-S」は、5Gネットワークのコネクティビティなどの通信技術を搭載しています。また、自動運転の走行試験なども実施していることから、近い将来ソニー製のEVが発売されるかもしれません。
【プロトタイプ:VISION-Sの主要諸元】
■乗車定員:4名(全席に独立シートスピーカー)
■全長4,895mm×全高1,450mm×全幅1,900mm
■ホイールベース:3,030mm
■最低地上高:120mm~135mm
■車両重量:2,350kg
■出力:200kW×2(フロント/リア)
■加速性能(0-100km/h):4.8秒
■最高速度:240km/h
■駆動方式:四輪駆動
百度(バイドゥ)
中国最大の検索エンジンの百度は、自動運転技術の開発もしており、EVの開発や製造を手がける子会社を2021年に設立しました。新たに設立した会社は、中国の自動車大手「吉利」も出資するため、両者の強みを活かしたEVが誕生するといえるでしょう。
鴻海(ホンハイ)
スマートフォンやテレビなどの電子機器を受託生産する中国の鴻海(ホンハイ)は、2021年に全世界にEV工場を作ることを発表しました。また、EVのオープンプラットフォームも発表しています。今後、基本構造部に鴻海製のプラットフォームを採用したEVが登場する可能性があるでしょう。
なぜIT企業がEVを開発できるのか
なぜIT企業はEVを開発できるのでしょうか。それは、内燃機関の車とEVでは、依存している機関に違いがあるからです。
EVの性能は、ソフトウェアやバッテリーに依存しています。従来の内燃機関の車では、ターボチャージャーやDOHCなど、エンジンに関わる技術開発が自動車業界をリードする要因のひとつでした。一方、EVではソフトウェアやバッテリーなどの開発がエンジンに代わる重要なパーツになります。ソフトウェアやバッテリーは、IT企業が得意とする分野です。よって、IT企業がEV事業に参入しているといえるでしょう。
自動車メーカー以外が作る車は安全なのか
自動車メーカーではない企業の参入が話題となるEVですが、安全面の問題はないのでしょうか。ニュースでは、EVのバッテリーが発火し、長時間燃え続けているという報道を耳にすることがあります。このようなニュースは、新規参入した企業のEVだけでなく、長年車を作り続けてきた自動車メーカーでも起きている事象です。
ただし自動車は、保安基準をクリアした車両しか販売できません。そのため、自動車メーカーが作るEVと新規参入した企業が作るEVのどちらも、一定の安全性は担保されているといえるでしょう。
今後、IT企業が自動車業界に参入してくる可能性はあるのか?
今後、EV事業に参入するIT企業は増えるのでしょうか。先述した5社以外にも、中国のXiaomi(シャオミ)や日本電産などがEV関連事業に参入すると発表しています。新たにEV関連事業に参入を表明している会社の多くは、電子機器を製造するメーカーです。そのため、今後電子機器メーカーがEV関連事業に参入する可能性は十分にあると考えられます。
まとめ
近年、増えてきたIT企業のEV関連事業参入。EVは従来の内燃機関の車と同じような見た目でも、内部構造に大きな違いがあります。EVの内部構造は、バッテリーやコントロールユニット、モーターなど、IT企業や電子機器メーカーが得意とする分野です。また、EVは走るスマートフォンとも呼ばれます。スマートフォンは、OSやRAM、通信環境やバッテリーなどによって、良いスマホかどうか判断されることが多いです。走るスマートフォンと言われるEVもスマートフォンと同じように、OSやバッテリーなどがEVの性能を左右するといえるでしょう。そのため、今後もIT企業がEV関連事業に参入する可能性は十分にあると言えます。今あなたが使っているスマートフォンと同じメーカーのEVが発売される日も遠くないかもしれません。