日産自動車はリーフに続く電気自動車の新型車「アリア」の限定車B6 limitedを2021年冬、B6 e-4ORCE limited/B9 limited/B9 e-4ORCE limitedを2022年夏以降に納車を開始する見込みだと発表しました。この記事では、話題沸騰のアリアについて徹底解説します。
日産 アリアとは
日産 アリアは、2020年7月に発表され、2021年6月から限定車の予約受注を開始したSUVタイプの電気自動車です。グレードは、バッテリーの容量違いで2種類用意され、それぞれに2WDとe-4ORCE(4WD)が設定されます。バッテリーの容量と駆動方式によって航続距離や出力に違いがあるものの、電気自動車ならではの力強い加速や滑らかな走り、静粛性を兼ね備えていることが特徴です。
先行予約が開始された限定車の「limited」は4グレード全てに設定され、価格が660万円~790万200円となっています。通常グレードの価格は、現時点(2021年10月時点)で発表されていません。
■B6(66kWhバッテリー)
・2WD(航続距離:最大450km):最高出力160kW/最大トルク300Nm
・e-4ORCE(航続距離:最大430km):最高出力250kW/最大トルク560Nm
■B9(91kWhバッテリー)
・2WD(航続距離:最大610km):最高出力178kW/最大トルク300Nm
・e-4ORCE(航続距離:最大580km):最高出力290kW/最大トルク600Nm
※航続距離はWLTCモード日産自動車測定値
【サイズ】
・全長4,595mm×全幅1,850mm×全高1,655mm
・車両重量1,900kg~2,200kg
・ホイールベース2,775mm
日産 アリアの特徴
日産 アリアには、どのような特徴があるのでしょうか。ここからは、アリアの特徴を5つ紹介します。
シンプルでシャープなスタイリングのエクステリア
アリアのエクステリアは、日産の新しいデザインランゲージと「ニッサンインテリジェントモビリティ」技術を体現しています。デザインは、シンプルな造形でありながら力強いモダンな「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」を表現。また、「スリーク」、「シック」、「シームレス」をキーワードに、先進技術やコネクテッド技術のイメージをデザインで現しています。
専用プラットフォームでフラットなフロアを実現したインテリア
アリアのインテリアは、モノとモノの間にある空間や連続するコトとコトの間の時間を意味する日本語の「間(ま)」をキーワードにデザインされています。またアリアは、EV専用プラットフォームを採用し、フラットで広々したフロアを実現。同時に、空調ユニットなどの配置を工夫することで、Cセグメントのボディサイズでありながら、Dセグメントレベルの広い室内空間を確保しました。また、ゼログラビティシートや多くの遮音材を使用することで高い静粛性と快適性を実現しています。
スイッチが少ないシンプルな操作まわり
アリアのダッシュボートには、物理的スイッチがなく車の電源を入れるとアイコンが浮かび上がります。このスイッチは単なるタッチセンサーではなく、運転中でも操作感がわかるように振動するハプティクススイッチを採用しているのも特徴です。
幅が広いセンターコンソールは、ドライバーのシートポジションに合わせて電動で前後に動かすことができます。また、センターコンソール上には「アドバンスドアンビエントライティング」が施された新デザインのシフトノブを配置。センターコンソール内には、Qi規格のワイヤレスチャージャーが搭載されています。
新開発の電動パワートレイン
アリアに採用される新開発の電動パワートレインは、動力性能、充電性能、航続距離を高次元で両立しています。また、四輪制御技術「e-4ORCE」は、前後に搭載したモーターと四輪ブレーキを繊細にコントロールすることで、プレミアムスポーツカーに匹敵する運動性能を実現。どのような路面状況でも安心して力強い走りを楽しむことができます。
先進の運転支援技術やコネクテッド技術を搭載
アリアの先進の運転支援技術には、一定の条件下でステアリングから手を離して走行できる「プロパイロット2.0」、車外からのキー操作によって駐車スペースへ車を出し入れできる「プロパイロットリモート パーキング」、アクセルペダルひとつで 発進、加速、減速、停止ができる「e-Pedal」があります。これらの支援システムによってドライバーは運転によるストレスを軽減することが可能です。また、全グレードに衝突被害軽減ブレーキシステムである「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」、車を上からの視点で見ているかのように表示してくれる駐車支援システムの「インテリジェントアラウンドビューモニター」、2台前を走る車両を検知して前方で起こりうる危険に対して注意を促す「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」など、全方位で安全をサポートします。
コネクテッド技術では、車との対話で車両設定などを行う最新のヒューマン・マシン・インターフェースを搭載。自然な話し言葉で車の設定を変更することができます。また、車のソフトウェアは無線でアップデートされるため、常に最新の状態を保つことが可能。さらに、AmazonのAlexa Autoが搭載されているのも特徴です。
アリアのライバル車比較
日産 アリアのライバル車になりうる電気自動車を比較してみましょう。ここでは、アリアと同じコンパクトSUVカテゴリーで、ほぼ同価格帯の電気自動車「メルセデス・ベンツ EQA」、「マツダ MX-30 EV MODEL」、「プジョー e-2008」の3車種を比較します。
メルセデス・ベンツ EQA
メルセデス・ベンツEQAは、EQCに続く純電気自動車第2弾として2021年4月に発売を開始しました。全長4,465mm×全幅1,835mm×全高1,625mmと日本の道路環境でも取り回しがしやすいサイズでありながら、SUVとしての使い勝手も両立しています。
EQAのバッテリー容量は66.5kWhで、航続距離がWLTCモードで422km。ほぼ同等の66kWhのバッテリーを搭載するアリア「B6」と比較をすると航続距離が少し短いです。出力は、EQAが140kW/370Nmですが、アリアは160kwまたは178kW/300Nm。EQAは、アリアよりもトルクが太いものの、最高出力が抑えられています。
EQAの先進運転支援システム、安全性、操縦安定性、快適性、利便性、品質などは、メルセデス・ベンツの安全哲学が反映されており、最新鋭の技術や予防安全装置などが搭載されています。
■スペックや価格
・全長4,465mm×全幅1,835mm×全高1,625mm
・最高出力140kW/最大トルク370Nm
・価格640万円
マツダ MX-30 EV MODEL
MAZDA MX-30 EV MODELは、2021年1月にマツダ初の量産電気自動車として登場しました。MX-30 EV MODELは、EV専用に基本骨格やボディを強化させたマツダの新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークルアーキテクチャー)」と電動化技術「e-SKYACTIV(イースカイアクティブ)」により、思い通りに操れる走行性能とシームレスで滑らかな挙動を実現しています。
搭載するバッテリーは35.5kWhで、航続距離はWLTCモードで256kmです。出力は、最高出力107kW/最大トルク270Nmとなっています。安全面では、先進安全技術の「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」が標準装備です。
マツダ MX-30 EV MODELは、日産 アリアと比較するとバッテリー容量や出力、価格ともに抑えられ、街乗り重視であることがわかります。
■スペックや価格
・全長4,395mm×全幅1,795mm×全高1,565mm
・最高出力107kW/最大トルク270Nm
・価格451万円~495万円
プジョー e-2008
プジョー e-2008は、2020年9月から発売を開始した電気自動車で、プジョーの新しいデザインを取り入れたコンパクトSUVであることが特徴です。エクステリアにはヘッドライトから下に向けて繊細に細くなっていくLEDデイタイム・ランニングライトやライオンの爪痕をモチーフにした3つのLEDライトをフロントとリアに備え、インテリアには立体視となる新世代の「PEUGEOT 3D i-Cockpit」や先進運転支援システム(ADAS)を装備しています。
電気モーターは最高出力100kW/最大トルク260Nmで、搭載バッテリーは50kwhです。航続距離はWLTCモードで360kmとなっています。自然吸気ガソリンエンジンに換算すると2.6L相当の最大トルク260Nmをゼロ回転から発生させ、瞬時の応答性を発揮するこで誰もが運転しやすく、かつ刺激的なドライビングを実現しました。
日産 アリアと比較をすると小さなボディサイズで小さい容量のバッテリーを搭載しているものの、街乗りを中心とした実用面での不足はないと言えます。価格は、438万円~477万6,000円です。e-2008は、アリアと同じコンパクトSUVというカテゴリーの中でも扱いやすく、実用性も高いモデルであるため、電気自動車のコンパクトSUVを探しているのであれば十分にライバルになるといえるでしょう。
■スペックや価格
・全長4,305mm×全幅1,770mm×全高1,550mm
・最高出力100kW/最大トルク260Nm
・価格438万円~4,77万6,000円
まとめ
日産 アリアは、人気カテゴリーであるSUVの電気自動車です。日本のみならず世界各国の自動車メーカーがコンパクトSUVの電気自動車を導入していることからも、ベーシックなグレードの価格や補助金次第では輸入車EVもライバルになります。現時点(2021年10月時点)では、アリアが他のライバル車よりバッテリー容量や航続距離などの面で有利です。EV車種増加や市場の動向によってアリアの評価は変化していくでしょう。