電気自動車(EV)のバッテリー寿命は何年?スマホと同様にすぐ劣化してしまうの?

更新 2021.11.04 バッテリーの維持管理
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近年、各メーカー電気自動車(EV)の開発に力を入れています。日本でも2035年には新車販売の100%が電気自動車になるかもしれません。電気自動車は静かで環境にも優しくメリットが多いですよね。


 


しかし、デメリットもあります。それは長くはないバッテリー寿命。


 


 


 


ガソリン車からの乗り換えだと、


 


・スマホと同じようにバッテリーはすぐに劣化するの?


 


・バッテリーの交換は可能?


 


・少しでも長くバッテリーを長持ちさせたい


 


など、気になることが多いですよね。


 


 


 


この記事では、電気自動車のバッテリーについて詳しく解説します。


 


電気自動車(EV)のバッテリー寿命


 


 


 



 


 


 


 


 


電気自動車(EV)にとって、バッテリーの寿命は重要なポイントです。多くの電気自動車のバッテリーは、駆動用と補機用の2種類が搭載されています。


 


 


 


電気自動車のバッテリーとして話題にあがるのは、駆動用バッテリーで、その多くはリチウムイオンバッテリーです。リチウムイオンバッテリーは、スマートフォンやノートパソコンなどに搭載されるバッテリーとしても知られています。


 


 


 


電気自動車の駆動用バッテリーは、航続距離や最高出力などを左右する重要な電力源です。スマートフォンやノートパソコン同様に、電気自動車も時間経過や充電・放電を繰り返していると劣化が進みます。


 


 


 


では、電気自動車の駆動用バッテリーが劣化するとどのような影響があるのでしょうか。また、バッテリーの保証やバッテリーの寿命が短くなる原因は何なのか解説します。


 


 


 


バッテリーが劣化することで起こるトラブル


 


 


 


バッテリーが劣化することで起こる代表的なトラブルは、航続可能距離の短縮です。航続可能距離は、電気自動車を利用するユーザーにとって重要な問題であり、自動車メーカーも課題解決に取り組んでいます。


 


 


 


リチウムイオンバッテリーの特性上、時間の経過とともに劣化するのは避けられません。しかし、近年では後述するバッテリーの劣化を遅らせる工夫がいくつもされています。


 


 


 


そのため、ある日突然、航続距離が極端に短くなるという心配は、ほぼないといえるでしょう。


 


 


 


バッテリーは交換できるの?


 


 


 



 


 


 


バッテリーの交換は可能です。しかし、電気自動車における駆動用バッテリーを内燃機関の車に例えるなら、燃料タンクとエンジンの両方を兼用していると言っても過言ではありません。そのため、交換用バッテリーはとても高額になります。では、実際にバッテリー交換をする場合どのくらいの費用がかかるのでしょうか。


 


交換費用参考


 


 


 


日産は、2018年にリーフの使用済みバッテリーを再度製品化(以下、再生バッテリー)した「再生バッテリー有償交換プログラム」を開始しました。プログラム発表当時の情報によると、24kWhの再生バッテリーを30万円で提供し、徐々に再生バッテリーのラインナップを拡充していくと公表しています。


 


 


 


2018年の再生バッテリー有償交換プログラム発表時、日産 リーフ用新品バッテリーの価格も明らかにされました。リーフの新品バッテリーの価格は、24kWhが65万円、30kWhが80万円、40kWhが82万円です。バッテリーの価格は、容量が大きくなるほど価格が上昇していくことがわかります。


 


 


 


また、実際のバッテリー交換では、バッテリー価格に工賃がプラスされた金額が請求されます。いずれにしても、バッテリー交換の費用は高額になることは間違いありません。


 


 


 


(なお、日産 リーフのバッテリーは、2019年に価格改訂が行われているため、現在の詳しいバッテリー価格は各販売店に確認してください。)


 


 


 


一般的なバッテリー交換目安


 


 


 


一般的なバッテリーのメーカー保証は、メーカーや車種によって保証期間や走行距離に違いがあるものの、登録日から8年または走行距離16万kmです。バッテリー容量のメーカー保証は70%がほとんどです。


 


 


 


そのため、バッテリー交換時期の目安は、各メーカー・車種ごとに定められているバッテリー保証のタイミングと考えておくと良いでしょう。もし、バッテリーを交換することになった場合、前述の通り多額の費用がかかります。


 


 


 


バッテリー交換をするか、車を乗り換えるかというのは、ユーザー判断になります。しかし、多くの場合、バッテリー交換をする頃には初年度登録年月から時間が経過していると予想できるため、乗り換えるを検討する可能性の方が高いでしょう。今後、バッテリーの価格が下がり10万円~20万円程度でバッテリー交換できるようになれば、バッテリー交換を選択するユーザーが増えるかもしれません。


 


 


 


 


 


バッテリーを長持ちさせるポイント


 


 


 


多くの電気自動車の駆動用バッテリーに採用されるリチウムイオンバッテリーは、小型でありながら大容量という特徴があります。


 


 


 


しかし、暑い夏や寒い冬、満充電の継続や、過放電(バッテリー0%)の状態になると、本来の性能が発揮できなかったり、バッテリーに負荷がかかったりします。


 


 


 


電気自動車の要と言っても過言ではないバッテリーを長持ちさせる方法はあるのでしょうか。ここからは、電気自動車の駆動用バッテリーを長持ちさせるポイントについて紹介します。


 


バッテリーの充電速度と温度管理を適切にする


 


 


 


バッテリーを長持ちさせるポイントは充電速度と温度管理です。


 


 


 


電気自動車に使われているリチウムイオンバッテリーは、急速充電をすると発熱することがあります。しかし、近年の電気自動車には、バッテリーの温度が上昇しないようコントロールされていることが多いです。そのため、急速充電をすることによる発熱については、さほど心配しなくても良いでしょう。


 


 


 


とは言え、時間があるときは、バッテリーの発熱を抑え長持ちさせるためにも、普通充電でゆっくりチャージした方が良いでしょう。


 


 


 


満充電状態の維持をしない


 


 


 


リチウムイオンバッテリーは、満充電の状態が続くと劣化が進むという特性を持ちます。そのため、バッテリーの充電量を80%程度までに留めておくとバッテリーが長持ちしやすいです。


 


 


 


長距離運転をする予定がある日は、タイマーなどを有効に使い、出発時間に100%になるようにセットして、満充電状態の時間が長くならないようにするとバッテリーが長持ちするでしょう。


 


 


 


過放電(0%)にしない


 


 


 


過放電(0%)の状態は、バッテリーの劣化を早めます。日頃から電気自動車を使っていれば、充電残量を確認する頻度が多いため、過放電になることがほとんどないでしょう。


 


 


 


しかし、週末のみ運転するケースや車を複数台所有していて電気自動車に乗る頻度が少ない場合、過放電になってしまう可能性があります。多くの電気自動車は、制御機能によって過放電にならないようコントロールされているものの、全く動かさない状態が続いてしまうと過放電になってしまいます。


 


 


 


電気自動車を所有したら定期的に車を動かして、バッテリー残量を確認したり、充電したりすることをおすすめします。


 


 


 


まとめ


 


 


 


電気自動車の重要部品であるバッテリーには寿命があり、時間の経過とともに劣化していきます。電気自動車のバッテリーを長持ちさせるためには、駆動用バッテリーに採用されているリチウムイオンバッテリーの特性を理解することが大切です。


 


 


 


リチウムイオンバッテリーのメリット・デメリットを知り、充電速度や温度管理、充電容量の制御をすれば、バッテリー交換までの時間を伸ばすことができるだけでなく、売却するときの評価も良くなります。電気自動車のある生活を送るときは、バッテリーとの付き合い方にも工夫が必要になるといえるでしょう。


 


 

[電気王編集部]